2025年01月01日
【会員限定・研究者ブログ】こんなにも違う!?ストレス反応の男女差―Tend-and-Befriend説への誘い―
皆さまもご存じのように、日本人男女では寿命に大きな差があります。2023年の簡易生命表(厚生労働省)によると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳と平均寿命には6.05歳の差がありました。僅かずつではありますが、その差は年々拡大しています。では、この差は一体何が原因なのだろうかと疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。 生物学的要因としては男性ホルモンであるテストステロンが免疫機能を抑制して様々な疾病に罹りやすくさせること、男性の方が不健康な生活習慣である喫煙や飲酒が多いこと、さらに男性の方が仕事のストレスが高く、退職後には社会的な孤立に陥りやすいことなどが考えられています。一方、最近になってそもそも男女ではストレス反応が異なるからではないかとも考えられるようになりました。そこで本コラムでは、ストレス反応の男女差を精神神経内分泌免疫学の視点から考えてみたいと思います。ストレス反応の男女差を理解することは、性差を考慮したさらにより一歩進んだ健康職場作りに貢献できるかもしれません。
執筆者:中田光紀氏(国際医療福祉大学医学研究科 教授)
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