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2021年09月21日

2021年9月9日開催 定例セミナー「コロナ禍で顕在化する若手社員のメンタルヘルス問題」サマリーをアップしました!

2021年9月9日(木)、定例セミナー「コロナ禍で顕在化する若手社員のメンタルヘルス問題」を開催しました。本セミナーは関西生産性本部「健康経営&メンタルヘルス研究会」との合同会合としてオンラインで実施され、30名以上の方々にご参加いただきました。
今回は、近年問題とされる若手層のメンタルヘルス問題や早期離職への対応、エンゲージメント向上の重要性、コロナ禍の中での人財育成の方法論などについて、学識の観点、企業での実践の観点からご講演をいただき、その後ディスカッションも交えて、若者とそれを迎える組織のあり方について検討しました。

山本寛・青山学院大学経営学部教授
「若手社員の離職・モチベーション低下が起きる組織的構造」


山本氏は、多くの企業で、若手社員のモチベーションや会社への愛着低下が言われており、それらを原因とした退職者増加が問題となっていると指摘した上で、近年、注目されている働きがいやエンゲージメントの観点から、若手社員を含む人材の定着(リテンション)の促進や、そのためのマネジメントの重要性について解説した。
近年、職場の流動化もあり優秀な人材をつなぎとめる上では、処遇以外にもエンゲージメント(社員が会社の成長と自身の成長を結び付け、会社が実現しようとしている戦略・目標に向かって、自らの力を発揮しようとする自発的な意欲)を高める施策をすることが不可欠だという。現時点では、エンゲージメント向上やそれによる定着の問題は経営課題にまではなっていないが、特にコロナ禍の終息後は、転職増加と人材獲得競争再燃が予想され、ニューノーマル時代の働き方であるテレワークのコミュニケーション不足や評価制度の不安をいかに解消して、働きがいを醸成するか。また、副業解禁が進み、個人が多様なキャリアを選択できる中で、企業と働く社員の絆をどう結ぶかが問われる。そのため、他業界の成功例も参照しつつ、特に働き方改革の施策とマネジメントの連動性を考慮することは、若手人材の定着度に効果的であり、退職率の低さは組織業績 売上高・経常利益の高さにも寄与することもあり、重要であると山本氏はまとめた。

実践事例1:テルモ株式会社
(人財開発室 部長代理 中澤圭一氏)


健康経営や手厚い人財育成で知られる同社では、毎年約200人が入社し、生産職と営業・開発・企画職に配属され、OJT・OffJTの各プログラムを経て若手社員の育成がなされている。同社では、様々な形での働き方改革が近年なされてきた。その根幹には、世界中の多様なアソシエイト(社員)が、自分らしくいきいきと働き、学び、成長することでテルモも成長するのであり、会社の成長戦略の実現には、人財の強化が不可欠という考えがある。そのような哲学を具現化すべく、コロナ禍において注力しているオンライン研修の留意点と対策としては、①集中力維持(発言・チャットの活用、挙手アイコン等のインタラクティブな要素や一時間に一回の休憩や自己学習タイム)、②コミュニケーション・参画意識の醸成(グループディスカッション多用、任意参加のオンライン懇親会)、③モチベーション向上(先輩社員との交流、グループワークの最終成果の順位発表)などがある。また、「入社から三年目で一人前」を目標にコロナ禍においても国内外での育成プログラムを実施しているという。

実践事例2:サントリー酒類株式会社
(近畿営業本部営業企画部 専任部長 西村信男氏)


同社はサントリーグループに属しており、創業以来の「やってみなはれ」で知られるが、実はその後「やらせてみなはれ やってみなわかりまへんで」と続くという。創業者・鳥井信治郎から大切にしている「社員は家族」の精神のもと、社員研修も企画されている。入社時研修や新任マネジャー研修など、各種の階層別プログラム内に、創業の精神を学ぶセッションを組み込んでおり、新入社員向けには、山崎蒸溜所や創業者鳥井信治郎生誕の地などを訪れ、サントリーグループのVALUEを学ぶプログラムを2日間通して体感する研修を実施しているという。
同社では、新入社員に上司や先輩から「君はどうしたいねん?」と主体性を求める場面が多いという。グループ社員としての基本的な素養である「お客さま志向」「品質第一」とともに、新入社員としての「主体性」「協調性」を各種プログラムで学ぶとともに、独自のメンター制度として、「TOO:となり(身近)のおせっかいおっさん・おばさん(シニア社員)」がある。豊富な経験を生かし、若手の相談役としての活躍を通じて若手社員、ベテラン社員を通じ組織を活性化させている。「人が命」だからこそ、関係者全員で大切に育てる組織風土があるという。

パネル討議・質疑応答


パネル討議・質疑応答
登壇者によるパネル討議と質疑応答では、さらなる深堀に向けての活発な議論が行われた。
「会社の理念と個人の成長の結び付け」「valueの浸透」「コロナ禍でのキャリア形成支援」「離職志望が高まりがちな30歳前後のへの対応」「採用、育成まで一括した組織構成」「リテンションがなぜ経営課題にならないのか」等の多岐にわたる話題についての議論が交わされ、その後参加者間での意見交換が行われた。

  最後に事務局より、次回の定例セミナー「理論から見つめる健康いきいき職場づくりの新潮流 ~経済学・経営学・臨床心理学の視点から~」(2021年11月26日開催)についてご案内し、本セミナーは閉会しました。

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