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2020年09月17日

2020年9月14日開催 定例セミナー「事例から考えるポストコロナにおける健康いきいき職場づくり」サマリーをアップしました!

2020年9月14日(月)、「事例から考えるポストコロナにおける健康いきいき職場づくり」を開催いたしました。同セミナーはオンラインセミナーとして実施され、多くの方々にご参加いただきました。コロナ禍に見舞われた本年、ストレスチェック制度は義務化から5年という節目を迎えました。今回は、”ポストコロナ””ストレスチェック”をキーワードとして、制度の活用方法や事例を通じ新しい時代の健康いきいき職場づくりの実践について検討しました。
 今回の定例セミナーでは、はじめに東京大学川上憲人先生より、コロナ禍およびストレスチェック制度の課題と好事例に関してご解説いただき、ポストコロナにおけるストレスチェックの活用について検討しました。さらに、組織・個人の活力向上のため、コロナ禍でも健康いきいき職場づくりに積極的に取り組む企業として、神戸製鋼社・富士通マーケティング社の事例を現場の取組推進者の方々にご紹介いただきました。両社の取り組みについて川上先生にご解説いただきながら、ポストコロナでの健康いきいき職場づくりに役立つ実践上のポイントを整理しました。

コロナ禍・ストレスチェック・健康いきいき職場づくり ~その課題と今後~
東京大学大学院医学系研究科 精神保健学分野 教授 川上憲人氏​

 冒頭、従業員同士の物理的距離が遠くなるWithコロナの働き方では、価値観や働き方の一層の多様化、個人主義の進展が起きるとご解説いただきました。今後は、職場のコミュニケーションを維持するための努力がより重要になるとご指摘いただきました。
 次に、Withコロナのストレスチェックにおいて留意すべき点についてご説明いただきました。Withコロナのストレスチェックでは、①調査項目と集団分析での工夫、②高ストレス者へのオンライン面接の実施、③オンライン研修の工夫、④職場環境改善の工夫、⑤セルフケアの支援が求められるとご提言いただきました。
 最後に、Withコロナ時代の健康いきいき職場づくりについてご解説いただきました。Withコロナ時代においても健康いきいき職場づくりの基本は変わらないものの、感染防止対策やテレワークなどの働き方を考慮することが求められるとのことです。テレワークでは従業員同士の「コミュニケーション」と「信頼感」の低下が起きやすいとし、全員参加でのビデオ会議を開催することも有効な方策の一つだそうです。Withコロナ時代として新たに創意工夫を重ねながら、健康いきいき職場づくりを進めていくことが重要であるとご提言いただきました。

株式会社神戸製鋼所 健康いきいき職場づくりの取り組み
開発業務部総務室 主任部員 伊藤圭介氏 保健師 中澤栄利沙氏
Active Work Place研究会 第5期(2017年度)参加企業

 同社では、健康いきいき職場づくりとして段階的な取り組みを行っていることをご紹介いただきました。まず第一段階として、メンタル不調による欠勤者の拡大傾向を受け、2013年よりこころの健康増進を目的とした取り組みを行ったそうです。第二段階として、「こころの健康はカラダの健康から」という認識のもと、2016年より生活習慣の改善のための取り組みを行ったそうです。第三段階として、2019年よりこころとカラダの健康増進に加え、社員がやりがいを持って働くことのできる職場づくりをマネジメントと連携して行っているとのことです。
 取り組みを進めるにあたっては、①労働安全衛生法や厚生労働省の指針に則り”体系的”に実践すること、②ストレスチェックや事業所内アンケート調査による課題分析など、定量的な分析をもとに”科学的”に施策を検討すること、③外部団体や大学との交流を通じた情報収集をしながら”先進的”に行うことが基本方針であるとご紹介いただきました。
 コロナ禍における取り組みとしては、オンラインでの熱中症対策セミナーや食堂での事業所収穫の野菜試食イベントを実施し、いずれも好評だったとのことです。

 川上先生より、「はじめからすべてを行うのではなく、ステップを刻んで一歩ずつ進めることの重要性が分かる事例。加えてデータ分析を丹念に行うことができている。健康いきいき職場づくりの推進チームにおいて、メンバーの成長がさらなるモチベーション向上につながっていることが見て取れるのも非常に良い」とご解説いただきました。

株式会社富士通マーケティング 健康いきいき職場づくりの取り組み
コーポレート本部 人事部 シニアエキスパート 山田真由美氏 坂本美佐緒氏
Active Work Place研究会 第4期(2016年度)参加企業

 はじめに、健康いきいき職場づくりの取り組みの方針についてご紹介いただきました。①社員のヘルスリテラシー向上、②生活習慣病対策、③長時間労働による健康被害低減、④セルフケア・ラインケアの充実、⑤社員の家族を含めた健康保持・増進を挙げていただきました。
 施策を実施するにあたってはPDCAサイクルを重視しているとし、生活習慣などの健康リスクや医療費等のデータ、社員意識調査やストレスチェック等の結果を活用していることをお話しいただきました。
 今年度の施策としては、喫煙対策や食生活改善、がん対策を重点的に実施しているそうです。また新型コロナウイルス感染拡大に伴い、新型コロナウイルスに関する健康相談窓口の設置や、テレワーク勤務における過ごし方やセルフケア等についての情報提供、1on1ミーティングの充実などを進めていることをご紹介いただきました。また、セルフケアを重視して行ったストレスチェックの傾向から見えるテレワーク/非テレワークの差など、興味深い結果もご説明いただきました。今後は、①オンラインへの切り替えとその限界への対応が課題であること、②オフィスの在り方について再考する必要があること、さらに③自律的な働き方が進むことからキャリアの在り方について検討が求められていることをお話しいただきました。

 川上先生より、「オンラインでの食生活改善・がん対策は非常に面白い取り組み。一貫してPDCAサイクルを回して施策を実施していることも良い。企業全体の経営方針の変化に産業保健がどのように関わるかも重要な点の一つ」とご解説いただきました。

質疑応答

 その後、チャット機能を用いた質疑応答が行われました。
 「心理的安全性を高めるためのミーティングの工夫」についての質問に対しては、川上先生より「メンバー全員が同じ情報を得ていることが最も重要。ミーティングの進め方については双方向のやり取りにこだわる必要はなく、一方向での連絡や発言者の指名があっても良い」とご回答いただきました。
 「コロナ禍の影響をどのようにストレスチェックに落とし込んでいくべきか」という質問に対しては、川上先生より「質的に結果を読み解くことが求められる。①コロナ禍が続くほど従業員のストレスは増大する、②テレワーク勤務率が高いほど同僚の支援が得られにくい、③出社率が高いほど仕事量が増大する、といった傾向を踏まえる必要があるほか、④社内での新型コロナウイルス対策への不満や、⑤新型コロナウイルスへの感染不安の高さに注目する必要がある」とご回答いただきました。

グループでの意見交換

 本日得られた気づきや自組織での工夫等について、オンライン上でグループごとに意見交換を行いました。
 ご参加の方々からは、 「オンラインと対面のそれぞれをバランスよく活用することが大事だと感じた」 「データを分析することで、新しい状況において何が起きているのかを把握することが重要だと実感した」 「自組織では出勤者・テレワーク勤務者合同でオンライン上での朝礼を行っている」 「ストレスチェックの分析においてテレワーク勤務率に注目したい」 等のご意見・ご感想を共有いただきました。

今後のご案内

 最後に、事務局より現在募集中のActive Work Place研究会(第8期)および定例セミナー「最新理論から考えるこれからの健康いきいき職場づくり」(2020年11月12日開催)についてご案内しました。

  Active Work Place研究会(第8期)    ▶ 詳細は
こちら
 定例セミナー(2020年11月12日開催) ▶ 詳細はこちら

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