冒頭に東京大学大学院教授の川上憲人先生より、健康いきいき職場づくりに関する総論講義をいただきました。健康いきいき職場づくりの理論的背景の講義の後、ガイドラインに沿った進め方、アセスメントの活用方法、実践企業の具体的事例のご紹介などをいただきました。アセスントの活用方法は、具体的にはストレスチェック制度を良いきっかけにして、これを「ストレスチェック制度」と言わず、「いきいき職場調査」などと言い換えてポジティブなものにとらえなおすことも効果的であることをお伝えいただきました。
一橋大学大学院教授の守島基博先生からは、経営の視点から、なぜ「いきいき職場」が必要なのか?という問いかけを皮切りに、経営学、人事管理の視点から、理論的、実践的にいきいき職場づくりを進めるためのポイントをお伝えいただきました。特に経営学からの示唆として重要なことは、健康いきいき職場づくりを組織として、経営として展開するために、自社にとってのKPI(Key Performance Indicator)を定め、その指標を見ながら進めていくことです。健康いきいき職場づくりにおけるKPIとは、例えば、チームワーク、人材育成、モチベーションなど、職場が担ってきた機能も挙げられますし、現在各社で取り組まれているストレスチェックの項目から選ぶのでもよいでしょう。必ずこうした項目を設定し、対策の中でそれがどう変化していくかを見ることで、対策の効果を測ることが大切であるとお伝えいただきました。
続くグループワークでは、みなさんの職場は「経営の視点から見て健康な職場ですか?」という問いに対するYes/Noと、Noの場合に打つ手は何かについて、各社の状況を話し合いながら検討しました。議論のキーワードとして、
・人材育成
・モチベーションアップ
・リーダー支援
・安心して働ける職場づくり
など、人事戦略として進めていきたいテーマが多く挙がってきました。おそらく、健康いきいき職場づくりの具体的方法としては、人事施策と重なる部分も多いことが分かります。
また、「うまくいっている職場はどんな職場?」という問いに対して、
・管理職がきちんとビジョンを打ち出している。
・部署の中での役割分担が明確になっている。
・裁量権がある、30%くらいが挑戦の仕事を任されている。
などの意見が挙がりました。
重要なのは、解決の方策は、職場に転がっている、ということです。ただ、それが「暗黙知」としてその職場にだけ通じているということが多いのです。Active Work Place研究会に参加されたメンバー皆さんの仕事として、そのような暗黙知を、形式知化して伝えていくことが重要な役割となります。
このほか、研究会メンバーからの「参加動機」と「現状」について、自己・自社紹介も併せて行い、参加各社の状況を確認しました。今期メンバーも、様々な課題や、またポジティブな希望をお持ちいただき、ご参加いただきました。ストレスチェック制度のフォローアップをポジティブメンタルヘルスの視点でどうしていくか、これまでの一次、二次、三次予防対策では足りない、プラスをプラスにしていく視点をどう取り入れたら良いか、経営として「健康いきいき職場づくり」に真正面から取り組みたい、などなど。
今期メンバーのこれからの学びと実践に期待しながら、フォーラムとしてもできる限りのサポートをして参りたいと思います。