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2021年04月01日

2021年3月16日開催 定例セミナー「健康いきいき職場づくり x 組織開発」サマリーをアップしました!

2021年3月16日(火)、定例セミナー「健康いきいき職場づくり x 組織開発」を開催しました。本セミナーはオンラインで実施され、約40名の方々にご参加いただきました。
今回は、コロナ禍での「自律・分散・協働型」の職場を実現するにあたって鍵となる、「組織開発」をテーマに据えて行われました。
組織開発の専門家や実践家、企業担当者による講演やディスカッションを通じて、これからの健康いきいき職場づくりと組織開発の重要性を検討しました。

南山大学 人文学部 心理人間学科  教授  中村和彦 氏
「なぜ組織開発なのか」

 はじめに、コロナ禍における職場や働き方について、「遠心力が働いている状態("自律・分散"の状態)で組織として"協働"することは、非常に難しいものだ」と問題提起いただきました。
 組織開発では、当事者自らが組織内の現状に気付き変革する力 "自己革新力" の高まりが最終的な目的であり、組織開発はいわば「対話の促進」であるとご提言いただきました。
 組織開発のプロセスとしては、①見える化(職場や組織の問題の可視化)、②課題設定のためのガチ対話、③未来づくり(アクションプランづくり)の順序で進めていくとのことです。
 リモートワーク下では、対話を通して、合意し、主体的な行動計画を立てる(意味付けをする)というプロセスが組織開発の視点から重要といえるとご指摘いただきました。


多摩大学 経営情報学部 事業構想学科  准教授  初見康行 氏
「従業員サーベイによる組織開発の実態と効果」

 日系企業・外資系企業の正社員約2,300名を対象とした調査の結果(生産性レポートVol.17 日本企業の人材育成投資の実態と今後の方向性 ~人材育成に関する日米企業ヒアリング調査およびアンケート調査報告~をご紹介いただきました。
 それらの調査結果から、組織開発は、"主観的生産性" の向上に対して直接的・即時的には寄与しない一方で、"企業理念の浸透" や "組織へのコミットメント" に肯定的な影響を及ぼしている」と想定できるとのことです。
 また、組織開発は個人の能力開発よりも効果が大きいと明らかにされたことから、今後さらに有望な人材投資の分野となるであろうとご指摘いただきました。

東京大学大学院 医学系研究科 精神保健学分野  客員研究員  小林由佳 氏
「組織開発手法を活用した健康いきいき職場づくり」

 職場環境改善を行うにあたっての実践的なポイントを中心にご解説いただきました。
 第一に、従業員が主体的に関与する参加型ワークショップである場合により効果が大きいとご指摘いただきました。
 第二に、職場の状態に合った手法を選ぶことが重要であるとご指摘いただきました。参加型ワークショップ以外に、目の前の問題への対処や部門長による対策といった他の選択肢も含めて適切な手法であるのかを検討することが求められるとのことです。
 第三に、健全な関係性とリーダーシップが参加型ワークショップの効果を高めることが明らかにされているとのことです。参加型ワークショップの有効性を高めるには、組織の生産性と社員の健康を両立させる上司のリーダーシップスキルが求められるとご指摘いただきました。

江崎グリコ株式会社 経営企画部 健康経営推進グループ  平山晃守 氏
「江崎グリコにおける健康経営」

 冒頭、Glicoグループの健康づくりにおける考えとして、Glico健康フィロソフィー「自らの健康づくりを通じて、社会の健康をリードする」をご紹介いただきました。
 従業員自身が能動的に健康づくりに取り組むことを支援するため、①自己理解・知識習得、②実践・習慣化の2つのステップに分けて活動を進めたとのことです。①自己理解・知識習得のためには、従業員調査やe-ラーニング、健康セミナーの実施、②実践・習慣化のためには、社員参加型イベントやヘルスケアアプリによる健康づくりを促したとお話しいただきました。
 併せて、医療費や従業員調査のデータを活用した、現状分析やさまざまな施策の効果検証についてもご紹介いただきました。

 

質疑応答

 質疑応答では、参加者の皆様からいただいたご質問をもとに、活発な議論が行われました。

 「組織開発を社内で推進するにあたってのポイント」についての質問には、中村先生より「経営層が"関係性の質を高めること"に投資すべきと判断するかどうかだ。経営層に対しては、"ディベロップメントの必要性"についての教育的な関わりを持つことが重要である」とご回答いただきました。
 次いで、初見先生より「米国において組織開発が進んでいるのは、人材不足および離職の問題が危機的であるためである。サンフランシスコなどにある先進的な大企業では、"従業員体験"(従業員である期間を最高のものにしよう)をキーワードとして取り組みを進めている」とご解説いただきました。

 「職場環境改善に関するマネージャー層の疲弊」についての質問には、小林先生より「"チーム体制"が整っていると良い。傷んでいる職場であれば、まずは管理職との面談を行うことも重要。ヒューマンプロセスよりも環境から入っていく方がうまくいく」とご回答いただきました。
 次いで、企業内で健康経営を推進する立場から、平山様より「パルスサーベイの回答から急激な変化があった従業員に対しては、"アラート"を発出しサポートする仕組みを取っている。また、サーベイのフリーコメントにも目を通し、緊急度の高いものについては個別対応を行っている」とご回答いただきました。


グループでの意見交換

 その後、ブレイクアウトルーム機能を用いて、グループでの意見交換を行いました。
 グループワークでは、"対話の重要性" "職場環境改善を進めるにあたってのコツ" "若手へのビジョン共有の難しさ" など組織開発にまつわるさまざまな視点から、ご参加の皆様それぞれのご経験やお考えを共有いただきました。


 最後に事務局より、次回の定例セミナー(コロナ禍一年 ~健康いきいき職場づくりの現在地と今後~ 2021年5月14日開催)についてご案内し、本セミナーは閉会しました。

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