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2016年03月22日

3月定例セミナー「サマリー(一部会員限定)」を公開しました!

去る2016年3月18日、健康いきいき職場づくりフォーラム定例セミナー「中規模事業所における健康いきいき職場づくり~企業単位で、グループ企業で、事業所単位で~」が開催され、多くの方にご参加いただきました。この日は、健康いきいき職場づくりを推進する単位として、中規模事業所~中堅企業、グループ企業、事業所単位~にフォーカスし、そこでの進め方についての理論面、実践面からのアプローチがなされました。

「中規模事業所向けの3つのアプローチ」(島津明人氏)
まず最初に、島津明人氏(東京大学大学院医学系研究科准教授)より、「中規模事業所における健康いきいき職場づくりの方向性とは」と題してお話しいただきました。そこでは、中小規模事業所において、なぜメンタルヘルス活動に取り組んでいないのかについて、統計や島津氏自身によるヒアリングなどから見える状況が紹介されました。その際に重要となるのが、①「一人での欠勤が出ると職場への影響が大きい」「ただし専任スタッフを置くのは不可能なので、日常のマネジメントとの連携が不可欠」という点です。そこで対策として浮上するのが、
1-経営者向けの啓発
2-コミュニケーション、相互尊重
3-ストレスチェックの戦略的活用
だといいます。1については、啓発用の冊子などでの発信がすでに行われ、2については、職場内のコミュニケーションやお互いを大切にすることの習慣化を目指したプログラムの開発が行われています。3については、ストレスチェックの結果を活用したワークショップやストレスチェックの読み方マニュアルの整備を進めているとのことです。今後、これらを活用し、中規模事業所の現実に合致した「いきいき」活動が進行することが望まれる、と島津氏は述べました。

「なぜ今、職場のソーシャル・キャピタルが重要なのか?」(西村孝史氏)
続いて、人材マネジメント論の観点から、西村孝史氏(首都大学東京大学院経営学研究科准教授)より、「人材マネジメントにおけるソーシャル・キャピタル形成の可能性」と題してお話しいただきました。西村氏は、近年職場において「人脈」「絆」をめぐる言説が非常に盛んになっている背景に、ソーシャル・キャピタル(「人脈」「絆」などから得られる資源)の重要性が増していることがあると指摘します。そして、その背景には、近年の内外環境の変化により、「働きやすさ」「働きがい」が持ちにくくなった状況があるといいます。では、その状況下で人事部門が何をなしうるのかに、西村氏は注目します。
具体的には、人材マネジメントが有効に機能することにより、組織力が高まることが期待され、そのための各種施策が職場の連帯を高め、それによって働きがいにつながることが調査からも見えてきており、それにより、「成長」「達成」「選択」「安心・納得」「所属」「尊重」などが従業員価値として満たされるとされています。また、それを具現化するのはキャリアや異動の問題も避けて通れませんが、人事サイドとしては、施策の設計・立案など直接的な対応とともに、現場の声や運用を拾い上げるネットワーク機能、施策から見える会社としてのメッセージ性、管理者への「情」「理」に基づく人事からの支援が重要だといいます。これらをうまく機能させることが、職場のソーシャル・キャピタル向上の上では大切だと西村氏はまとめました。

「社員参加型の取り組みが活性化を促進する」(白飯文人氏)
続いて、実践報告として、白飯文人氏(DIC埼玉工場総務グループリーダー)より、「健康いきいき職場の展開」と題して、同工場での実践の現在をお話しいただきました。同社は事業所によって扱う商材が異なる中で、同工場は、先端技術への対応を迫られる中で業務量が増加し、また不調者が増加したことを受け、事業所として「いきいき」に取り組むことを選択しました。
具体的には、従来の「心の健康計画」をブラッシュアップし、2014年度に「健康いきいき職場スターター認証」を取得したことを受け、労使で「推進委員会」を中核に、「にぎ「WA」いづくり分科会」(イベント、コミュニケーション増進)、「心の健康づくり分科会」(健康づくり計画、安全衛生)、「いきいき環境づくり分科会」(福利厚生改善、「ほめほめ隊」)が活動を進めています。14年末に認証を取得した時点では計画段階だったものが、昨年1年の中で徐々に活動を進め、深化させつつあります。職場柄、なかなか全員が集うのが難しいという状況を受け、例えば花見や大忘年会開催などのイベントを契機にし、一方で参画を得るべく従業員参加型のワークショップや、その担い手の養成セミナーを実施するなど、取り組みを通じて、全員参加の自律型の職場への変革を目指しています。そして、ワークショップの結果、「目指したい職場」像として多く挙がった「コミュニケーション」を具体化するための施策を今後はさらに検討するとのことです。

「社労士として人事と現場をつなぎ、伴走する役割を意識したい」(中辻めぐみ氏)
次に、産業現場での取り組みを支援する立場から、中辻めぐみ氏(中村雅和社労士事務所副所長)より、「小さな組織だからできること」と題してお話しいただきました。職業柄、中小企業との接点が多い中辻氏は、中小企業の強みとして、「経営者と社員の一体感が高い」「トップとの距離が近く、話が早い」などが挙げられるといいます。そのうえで、支援事例として3つの例を挙げてくださいました。

1-客先常駐の多いIT企業で、特定顧客の圧力で社員が不調に陥るケースで、経営を巻き込んで相手顧客と交渉し、無理な交渉を行わないように要望し、結果として帰属意識や一体感が向上
2-若手の離職率が高い卸・小売り業で、シスター制度を導入し、その際には指導者側のメリットも強調。結果として、定着率の向上とともに指導役の成長が促進された
3-社員数500名(だが小規模職場の集約)の会社で不調者が急増。その対応として、予防・早期発見や、「元気に働く」ことに着目し、心身の健康や上司への支援を強化。結果として活性化とそのためのコミュニケーション向上に力点を置くことに

いずれの例でも、「何ができないか」ではなく、「何ができるか」というポジティブな視点をもとに、人事が現場の声を取り入れ、できることから進めていくことが重要であると中辻氏はまとめました。

このあと、登壇者によるパネルディスカッションとして、会場からの質問も受けつつ様々な討議が行われ、自職場でも取り入れられそうなものを見出すための深堀りが行われました。なお、質疑内容・当日配布資料は会員限定で公開しています。メニューより会員ログイン後にご確認ください。

次回開催は5月16日です。テーマは、「認証制度を活用した健康いきいき職場づくり」です。また、当日は会員限定のコミュニティも開催予定です。ご期待ください。
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